前回このブログでも紹介していた第9回日本心臓リハビリテーション学会北海道地方会が、先週(2024年11月16日)に北海道大学学術交流会館にて開催されました。当日はお天気に恵まれ、北大構内の紅葉がとても綺麗で、学会日和でした。
今回は地方会と言えども、一クリニックである当院が主幹を務め、また、私が大会長という大役を任されたことから、クリニック一丸となって2年前から少しずつ準備を進めていました。前日からスタッフ数名が搬入作業を行い、当日は開始1時間前からミーテイングを行い、大会ホストとして参加者には精一杯のホスピタリティを伝えようと意思を統一しました。
学会運営は、数百名規模の大きな学会だと学会運営会社にほとんどの業務を委託することが多いと思われます。しかし、今回の学会規模はせいぜい100-200名程度と予想され、学会運営費も限られていましたので、できるだけスタッフだけで受付や案内係、クローク、ランチョンセミナー、音響調整、司会進行、質問者へのマイクの手渡しなどを賄うよう努めました。
受付は完全にスタッフだけで、アットホームな感じです。当日のプログラムからポスターまで一部は印刷業者さんにデザインを依頼しましたが、ほとんど内容は手作りで行いました。
今回の学会の主役は心臓リハビリテーションに係る職種、特に心臓リハビリテーション指導士資格を有する理学療法士さんが多く参加されることが予想され、北海道内には心臓リハビリテーション指導士は名簿公開数で234名いらっしゃいます(参考:日本心臓リハビリテーション学会ホームページ)。そのうち、どれだけの人数が学会に参加されるのか、当初不安でしたが、いざ始まってみると来るわ来るわ、最終集計では過去最高の214名の参加者を賜りました。もちろん参加者全員が名簿登録者ではないものの、単純に数だけで計算すると心臓リハビリテーション指導士資格者の90%が参加したことになります。
学会は若手研究奨励賞(YIA)審査対象演題から始まり、一般演題、ランチョンセミナーと続きました。YIAでは市立札幌病院 リハビリテーション部の杉浦 宏和 先生が見事に最優秀賞を獲得し、協会帯広病院 心臓リハビリテーションセンターの藤崎 弘也 先生と札幌医科大学大学院医学研究科の幅口 亜紀 先生が見事に優秀賞を獲得されました。皆さん甲乙つけがたい素晴らしいご発表でした。
ランチョン(お昼)の時間では、200個に上るお弁当の準備で大忙しです。今回のお弁当のチョイスも全て当院に任されていましたので、少しでも楽しんでもらおうと、「たま笹」さんの幕の内弁当にしました。中には特大コロッケが入っていて、大変好評でした。
学会のランチョンは、ランチョンセミナーという講演があることがほとんどなのですが、今回、あえて当院の心臓リハビリテーションを実際に体験してもらおうと、看護師や医師、歯科医師、栄養士、理学療法士、検査技師、薬剤師がそれぞれクリニックの制服を着て(コスプレ?)、壇上に上がり、模擬患者での多職種カンファレンスを行いました。最近、全国学会でもこのような試みが行われ、人だかりになるほどの人気セッションとなっていますが、今回も大変大きな反響を得ました。
学会の目玉である特別講演では、九州大学医学部第一内科(血液・腫瘍・心血管内科)助教の稗田 道成 先生に『加齢に伴う左室収縮が保たれた心不全患者の心筋stiffnessと運動生理の関連」についてご講演賜りました。心筋の硬さ (stiffness)が硬くなると、心臓の拡張が悪くなり、血液がうっ滞して心不全を引き起こします。たった2週間の安静だけで3倍心筋が硬くなること、加齢(65歳以上)で硬化が進行すること、いったん硬くなってしまった心筋を元に戻すのは難しく、できるだけ早期に比較的高強度の運動療法を行うことで、元に戻す、あるいは予防することが可能であることを極めて緻密な臨床研究の結果をもとに、ご解説されました。心臓リハビリテーションや運動療法の分野では、時に科学的な視点よりも臨床経験を重視されがちですが、科学的な視点を持ちながら臨床にフィードバックすることの重要性を改めて教えて頂きました。
今回の学会で、もう一つ当院ならではの工夫として、当法人が運営するカフェ(HEART COFFEE)が出店し、カフェブースを作ったことです。学会のほんの合間の時間に参加者には無料でコーヒーを提供しました。講演ばかりの会でほっと一息つく憩いの空間があることは、きっと参加者の皆さんに喜んでもらえたのではないかと思っています。
最後に、参加スタッフ全員での記念写真です。準備期間で約2年、当日はスタッフ総勢20名と、時間と労力をかけてこの日のために準備してきましたが、214名と北海道地方会開催から過去最大の参加者で、無事盛況のうちに終えることができました。ご講演や座長、発表頂いた先生方、当日の学会運営をサポートして頂いたコンベンションワークスの皆様、ご協賛頂いた企業の皆様、この会を陰でサポート頂いたすべての皆様に厚く御礼申し上げます。
来年度は第10回の開催となり、北海道大学 循環病態内科学の安斉教授が大会長を務められます。
また、来年も再び皆様とお目にかかれることを祈念しております。
本当にありがとうございました。