ブログDIRECTOR'S BLOG

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新しい分院を開設する意義(パート2)

来年4月に新たな分院「あさぶハート・心リハクリニック」を開院予定で、前回のブログでは待合室兼カフェの「HEART COFFEE」をご紹介しました。

今回は分院のメインコンセプトである心臓リハビリテーション(以下心リハ)を行う5F部分をご紹介します。

なぜ、外来しかないクリニックで心臓リハビリテーションが必要と考えたのか、まずはその背景からご説明します。

日本では世界でも類を見ない速さで高齢化が急速に進行しています。循環器病、とりわけ心不全は高齢化とともに発症数が急激に増加し (心不全パンデミック)、2030年には130万人を超えると推定されています(下図)。最近ではアントニオ猪木さんが79歳で心不全でお亡くなりになりました。日本の心不全患者さんの平均年齢が男性で75歳、女性で81歳ですので、高齢者は心不全に要注意なのです。


心不全を始めとする循環器病は高血圧や糖尿病などの生活習慣病が原因となって、心筋梗塞や心肥大、不整脈などへ進行し、一度心不全を発症すると完治することはなく、息切れやむくみが起こり徐々に悪化して 生命を縮めてしまいます(下図)


したがって、いかに心不全にならないように高血圧などの生活習慣病のうちから管理するか、あるいは不幸にも心不全を含む循環器病になってしまった場合、悪化しないようどのようにうまく付き合っていくかが重要となります。
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や心筋梗塞、狭心症、心臓手術後、心不全などの循環器病では薬物治療だけでなく、食生活の改善や運動療法、血圧や体重測定などの自己管理(セルフケア)の体得がとても重要です。このような循環器病の患者さんが社会復帰や疾患の再発や悪化の予防、生活習慣の是正、動脈硬化の防止を目指して総合的に行う活動プログラムのことを心臓リハビリテーション(以下心リハ)と呼びます。心リハの実施によって再入院や死亡率の低下、生活の質(QOL)改善、運動能力の向上など多面的効果が既に多くの研究で証明されています。


心リハでは専門知識を持った医師、歯科医師、理学療法士、看護師、薬剤師、検査技師、健康運動指導士、歯科衛生士など多くの専門医療職が関わって、患者さん一人ひとりの状態に応じた効果的なリハビリプログラムを提案し実施します(下図)。リハビリというと「運動」だけイメージする方が多いですが、こと心臓リハビリテーションに関しては運動療法だけでなく、栄養指導、看護師の指導による生活指導やセルフケア(自己管理法)の体得、カウンセリング、口腔ケアを含めた多面的・総合的な取り組みを指しますので、そこはぜひ間違いないようにご理解下さい。

特に高齢者では筋肉量・筋力の低下(サルコペニア)や、身体・心身の活力が低下した状態(フレイル)、さらに口腔機能低下による低栄養を合併することが多く、転倒などをきっかけに寝たきりなどの要介護状態に陥りやすくなっています(下図)。

このように近年ますます心リハのニーズが高まっている一方で、日本では諸外国に比べて外来心リハの実施率や参加率が極めて低く、外来に特化した心リハ実施施設がほとんど存在しません❢

そこで、分院では外来心臓リハビリテーションに特化し、日本心臓リハビリテーション学会認定心リハ指導士(医師、理学療法士)ならびに日本循環器学会が認定した心不全療養指導士が常駐し、併設する歯科クリニックによる口腔ケアと管理栄養士による食事療法を含めた包括的心臓リハビリテーションを外来だけで実現した道内で初めての試みとなります。心臓リハビリテーション・メディカルフィットネスは分院の5Fに位置し、周囲はガラス張りで開放的なフロアになります。

心臓病だけでなく、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、メタボリック症候群、肥満、脂肪肝でも利用が可能なメディカルフィットネスを併設し、管理栄養士による個別の食事サポートとともに多数の疾病管理プログラムを用意しています。

疾病管理プログラムや心リハの運動処方を行う際には、下図のような心肺運動負荷検査や体組成測定を実施し、科学的見地に基づいた運動プログラム、運動処方をご提案します。

心臓リハビリテーションの場合、過度の運動負荷がかかると逆に病気を悪化させる可能性があるため、必ず心電図モニターを装着してもらい、心リハ指導士の監視の下で行うことが基本となります。

 

実際に5Fに設置する運動機器はTechnogym製のトレッドミル、Senoh社製のエルゴメーター、Technogym製の各種筋トレ機器など、いずれも最新かつ本格的な運動機器をご用意しています(下図)

また、抗動脈硬化作用や心不全改善効果、心身をリフレッシュさせる全人的治療法として近年注目されている和温療法(遠赤外線乾式サウナによる温熱療法)を完備し(下図)、道内でも数少ない和温療法学会より認定された医師、看護師が常駐します。

 

新しい取り組み満載の5F心臓リハビリテーションは来年4月3日(月)に開院予定です。

心臓病を持っているがどこまで運動して良いか分からず週1回でも専門施設で運動してみたいと思われる患者さん、生活習慣病と診断されたが薬に頼らず食事や運動療法で何とかしたいと考えている方、あるいは単純に心リハにご興味がある方はぜひ来年春に分院へお問い合わせ下さい。