唐突ですが「メディカルフィットネス」という言葉を聞いてことはありますか?
この用語は1982年頃に医療機器メーカーによって初めて名付けられたそうです。狭義は「医療機関が運営するフィットネス」でしたが、現在はより広い意味で「医療的要素を取り入れたフィットネス」をメディカルフィットネスと呼んでいます。
この「医療的要素」とは何ぞや?というところが曖昧で分かりずらいのですが、そこは置いておいて、もう一つメディカルフィットネスを示す用語として、「厚生労働大臣が認定する健康増進施設」というものがあります。
最近、24時間営業していたり、完全無人で営業しているフィットネス、増えていますよね。○○ジムに入ったから運動はしている(のに良くならない)とおっしゃる患者さんがいますが、このようなフィットネスは国が認可した健康増進施設か?とういうと答えはノーです。
皆さんご存じの通り「運動」は高血圧、脂質異常症、糖尿病、広くは肥満などの生活習慣病を改善させる十分なエビデンス(証拠)がある薬物治療や食事療法と並ぶ立派な治療法の一つです。つまり「運動」は医療の一部でもあるわけですが、それは好き勝手自由にやる運動が医療かと言われれると、そこはちょっと違います。あくまで、過去の多くの研究で運動の効果が証明されているのは、運動指導を専門的に行う健康運動指導士や理学療法士などの専門職の監視の下、適切な運動様式(有酸酸素運動あるいは筋力トレーニング)かつ適度な負荷量で実施した運動であって、そのような条件下で行う運動が初めて医療と同等であると考えられています。よって、国が認可する健康増進施設は「運動指導を行うものを常時配置し、有酸素運動を安全かつ適切に行うことのできる施設であって、適切な生活指導を提供する場を有するもの」と定義されています。ですので、24時間営業していても無人だったり、仮にトレーナーがいても適切な有酸素運動や生活指導が提供されていなければ、国は医療の一部としては認可していないということになります。
当院は医療法人の付帯施設として、北37条西3丁目 3-12 あさぶハート・心リハクリニック5Fで昨年4月からあさぶハート・メディカルフィットネスを開院し、1年間の実績を評価され、種々の提出書類や許可申請を経て、本年4月から北海道にまだ12施設しかない厚生労働大臣が認定した健康増進施設の一つとして正式に認可されました。
当院のメディカルフィットネスが「健康増進施設」として認可されたことは、単なる国からのお墨付きをもらっただけではありません。正式に国から「当院のメディカルフィットネスで実施する運動は医療の一つ」として認定されたことを意味し、それは当院あさぶハート・メディカルフィットネスの利用料金は医療費控除を受けられますので、利用明細書を確定申告書に添付すれば1年間受けた医療機関の受診料と合わせ、医療費控除を受けられる対象となります。このように、フィットネスの利用料金が医療費控除の対象となるのは、厚生労働大臣が認可した健康増進施設だけになりますので、それだけ厚労省も慎重にこの認定制度を運用していることが伺えます。
さて、あさぶハート・メディカルフィットネスは5Fにありますが、利用する場合は最初に3Fの循環器内科クリニック(あさぶハート・心リハクリニック)で札幌市医師会健康スポーツ医ならびに日本スポーツ協会公認のスポーツドクター資格を有する医師によるメディカルチェックを受けます。このメディカルチェックには一般的な血液検査、尿検査、胸部レントゲン、心電図だけでなく、心肺運動負荷検査といって有酸素運動能ならびに有酸素運動から無酸素運動に変化する閾値(その時の負荷量、心拍数)を正確に測定する検査が含まれます。利用者が高齢者や持病がある患者さんが増えている昨今、運動にも不整脈や急な血圧変動、狭心症の誘発など、伴うリスクが存在しますので、運動をする前に医師が医学的検査データを元にリスクの層別化(個々の患者さんでどの程度のリスクがあるか)を評価し、その情報を実際に運動を指導する健康運動指導士や理学療法士と共有して医学的見地に基づいた運動メニューを作成します。ここがまさに上述した「医学的要素を取り入れたフィットネス」の所以なのです。
そして、さらに詳細に体組成分析、身体機能(握力、バランス、歩行速度、筋力テスト)を評価し、また当院では常勤の管理栄養士が個別に食習慣の評価を対面で行い、より効率良く運動の効果が出るように、食事内容の見直しといった生活指導まで踏み込んで評価・指導を行います。これらの身体機能データ、体組成データ、血液データも全て電子カルテ上に一括して記録され、どの職種もデータを閲覧することができ、そのデータに基づいてそれぞれの指導を行い、利用者個別のメニュー作成します。
これによりまさに「個々の医学的データおよび運動専門指導者の医療知識に基づいた、運動の効果をより最大限引き出すように組まれた個別メニューの提供」となり、真の医療的要素を取り入れた「メディカルフィットネス」となるわけです。
当院の利用者は入会すると必ずそれぞれ運動プログラムと日々の運動記録、疾患の教育資料、栄養指導の内容がファイリングされた個別ファイルを与えられます。このファイルには日々の運動を記録としてつけることで、ちょっとした血圧や体重の変化に気づきやすくなります。
あくまで、現時点の130名の患者さんの入会から3カ月後の経過だけ以下にお示ししますが、皆さんの継続率は高く、血圧や中性脂肪、コレステロールが有意に改善し、体重、体脂肪率が低下、筋力が増加する傾向がありました(※あくまで当院単施設のデータですので、同じような健康増進施設の治療効果を一般化したものではありません)
このように、あさぶハート・メディカルフィットネスでは生活習慣病の予防や改善のために運動が必要な方に、安全で効果的な運動・食事・生活指導を提供します。
来る2024年10月19日(土) 10:00~16:40に北翔大学 札幌円山キャンパス北海道札幌市中央区南1条西22丁目1−1にて、「医療と連携した健康増進施設の在り方」について添付の通り当院の取り組みを講演します。参加費がかかりますが、もしご興味のある方は足を運んでみて下さい(パンフレット:健康増進施設セミナー北海道大会2024Flyer8.30)
また、今回のブログで運動が苦手な方や持病がある方でメディカルフィットネスにご興味がありましたら、当施設で安心して適切な運動を続けられることで、病気の予防や減量、生活習慣病の改善が期待できますので、どうかお気軽にあさぶハート・メディカルフィットネスへお問い合わせください。
電話番号:011-792-0015
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