2023年11月25日(土)に旭川大雪クリスタルホールで開催された第8回日本心臓リハビリテーション学会北海道支部地方会(大会長 旭川医大 伊達 歩 先生)において、当院から2名の理学療法士(皆川 七穂、安部 貴仁)がYIA (Young Investigator Award、若手研究奨励賞)審査口演にて、また、私がシンポジストとして発表してきました。
安部 貴仁の演題名は「外来心臓リハビリテーション導入時の心房細動発生率に関する検討」でした。発表内容は当院の外来心臓リハビリテーションに通院される98名の患者さんのうち、26名(27%)が心房細動という不整脈を持った患者さんが参加されており、さらに不整脈がない(正常洞調律)と考えられていた患者さんであっても、心臓リハビリ中に心電図モニターを装着することで、初めて心房細動が発見された患者さんが3名(5%)いることを報告しました。
最近の高齢化とともに増えている「心房細動」は80歳以上では10人に1人発症すると言われるほどありふれた不整脈となっていますが、一方で心房の中に血栓を形成し脳梗塞の原因となったり、心房細動によって心不全が引き起こされるなど、後々厄介な不整脈であることも知られています。現在は、カテーテルアブレーションといって、不整脈の基となる部分をカテーテルで焼灼する治療法で完治が望める不整脈ですので、いかに早くこの不整脈を検出することがクリニックでは求められています。外来心臓リハビリテーションは、必ず運動中に心電図モニターを装着しますので、結果的に心房細動の早期発見につながるという、まさに心リハの福音とも言える効果があることを見事に発表されました。
次に、皆川七穂からは「新規に開設した外来心臓リハビリテーション専門施設の患者特性とその効果に関する検討」で講演しました。
彼女の発表では、当院の外来心臓リハビリテーションの取り組みをまず紹介されました。外来心臓リハビリテーションはまず3Fで医師による簡単な診察を行います。その後、5Fに行ってもらい血圧チェック→整理体操→有酸素運動→筋力トレーニング→整理体操(クールダウン)→バイタルチェックと行い、約1時間ほどで一連の運動が終了します。その運動中の合間に、理学療法士や看護師が患者さんが自宅で記載された心不全手帳や血圧手帳の値を確認したり、心不全の基礎知識について指導したり、管理栄養士が簡単な栄養指導を行います。このように、一人の患者さんに対して、多くの職種が短時間、頻回に関わることで、体調変化に気づきやすくなったり、それぞれの患者さんの質問やニーズに応えられるよう努力しています。また、多職種で集めた情報は月に1回、リハビリテーションカンファレンスで多職種間で共有し、得た患者さんの情報から最も良いと思われる治療方針をみんなで検討しています。
さて、お二人のYIA審査のための発表が終了し、最終的に皆川 七穂が見事、YIA優秀賞に選出されました。
彼女は救急患者を多く受け入れる基幹病院で、急性心不全や急性心筋梗塞などで入院した患者さんのリハビリテーションをメインにやってきて、今年4月から当院の外来心リハ立ち上げスタッフとして、リーダーを務めてもらいました。全く勝手の違う分野で、かつ責任のあるポジションで苦労が多かったと思いますが見事に成果を出し、さらに学術的な発表としてまとめられ学会から若手優秀賞を受賞されたことは、本当に誇りに思います。おめでとうございます!! 安部さんは次回ぜひリベンジしてください☺
この日本心臓リハビリテーション北海道支部地方会は今回で8回目になりますが、次回9回目はなんと私が大会長となり、私達の施設が大会運営施設になります。通常、大学病院や基幹病院が担うことが多い大会事務局ですが、クリニックがそれを担うのは大変光栄ですし、ぜひ盛大な会にするべくスタッフ一丸となって鋭意準備して参ります。
学会テーマは『急増する高齢心不全を地域で診るための心臓リハビリテーション』と題し
2024年11月16日(土) 場所は北海道学術交流会館(マップ参照)で完全現地開催で行いますので、ぜひ北海道各地の理学療法士の皆様、看護師、栄養士、薬剤師、運動療法指導士、医師、その他心臓リハビリテーションに関わる皆様はぜひご参加下さいますようよろしくお願い申し上げます。