ブログDIRECTOR'S BLOG

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喉元過ぎれば熱さを忘れる「痛風の怖さ」

ビールを飲み過ぎたその夜、足の親指の付け根がうずいて、夜中に真っ赤に腫れあがり激痛に襲われた経験はありませんか? 風が吹くようなわずかな刺激で激痛が走る、「痛風」の名前の所以です。痛風は男性に多く、今やその頻度は30歳以降では30%に達すると言われ年々増加傾向です。当クリニックにも1日数名の痛風患者さんがいらっしゃいます。

痛風は血液中の尿酸が 7mg/dL以上になると、溶けきれず結晶化して関節に溜まってしまい炎症を引き起こし激痛や腫れの原因となります。尿酸はプリン体が代謝された物質であるため、プリン体の多い食事(もつ、レバー、かにみそ、えびなどいわゆるお酒のおつまみ)で上昇し、その他にも激しい運動、脱水、肥満、お酒の飲みすぎも原因となります。痛風発作の多くは足の親ゆびの付け根や足首の関節に突然、激烈な痛みとして発症し1週間から10日経つと次第に治まってそのうち全く症状がなくなります。喉元過ぎれば熱さを忘れ尿酸値が高いまま放置するとまた再発します。これを繰り返すと関節には大きな瘤のような痛風結節ができ、さらには尿路結石や腎機能障害(最悪の場合は透析治療)へと進展するため決して放置してはいけません。関節に溜まる尿酸塩結晶を診断するには、以前は関節液を注射で抜いて顕微鏡で証明していました。しかし、現在は関節エコーが非常に有用で下図のように関節液の貯留とともに高いエコー輝度で見える尿酸塩結晶や、層状に沈着した尿酸塩結晶を示すdouble contour signが観察でき、いずれも痛風による関節炎に特異的な所見です。

図:Grassi W, et al. Semin Arthritis Rheum. 2006;36:197-202.より引用

当クリニックでは積極的に関節エコーを活用し、正確で迅速な診断を行っています。健診で血清尿酸値が正常でも痛風発作を繰り返している方は痛風結節を知らずに合併していることがありますが、その診断にも関節エコーは有用です。またその場合は血清尿酸値の管理目標は6mg/dL以下になることに注意して下さい。

痛風はあくまで表面に見える氷山の一角に過ぎません。痛風の経験がある方は高血圧や高コレステロール血症、メタボを合併していることが多く、これらは心筋梗塞や脳梗塞につながるため尿酸値だけでなく生活習慣病全般を調べる必要があります。さらに私達は心血管病の終末である心不全においても尿酸を管理する必要性があるかどうか現在検討しています(Yokota T, Fukushima A, et al. LEAF-CHF. International heart journal. 2018;59:976-982.)

痛風でお困りの方、健診で尿酸高値を指摘された方はいつでもご相談下さい。