北海道大学循環病態内科学の研究室の後輩(白川先生)が当院オリジナルのロゴが刺繍された白衣をプレゼントしてくれました。関係者の皆様に心より御礼申し上げます!!
彼は心不全患者さんの血液から採取した細胞を使ってミトコンドリア(体内のエネルギー産生に関わる重要な細胞小器官)の良し悪しを判別するという、非常に重要なプロジェクトを研究されています。
当クリニックでは積極的に最新の知見を取り入れ、日々の検査・治療に還元して参ります。
さらに嬉しいことに、北海道大学在籍中の研究がCirculation Report誌に掲載されました!! 当時の大学院生(現、北海道科学大学 石川先生)が看護師の観点から検討しまとめられた論文です。論文は7回にわたって海外の著明な科学雑誌に投稿しましたが、reject (却下)され、今回8回目の投稿で本邦の循環器学会雑誌に受理され掲載されました。しかしながら、科学的意義としては非常に優れており、実際に論文投稿中にほぼ同様の結果が海外の一流雑誌に先じて掲載されたほどです(Fleming LM, et al. Circ Heart Fail. 2018;11:e004634.)。こればかりは如何ともし難いですが、新しい試みはぜひopen mindで受け入れて頂きたく存じます。さて、研究の内容は急性心不全によって入院した患者さんは急性期はベッドの上での安静を要しますが、血行動態(血圧、心拍数、体液の貯留具合)が安定した時点で速やかに離床(自力でベッドから離れてトイレや洗面をすること)を促します。そのプロセスが遅れた患者さんと、早期に離床が得られた患者さんとでその後の寿命を比較し、どのような因子が離床遅延に関与したかを調べました。
Ishikawa K, et al, Circulation Report in press.
その結果、日本では8日間以上ベッド上安静を要している心不全患者さんはその後の心血管イベント(死亡あるいは心不全による再入院)が高率に生じていることが明らかになりました。さらに、離床遅延に関与した因子として、高齢 (65歳以上)と血中尿素窒素の上昇(腎機能障害や栄養不良で上昇)が関与していることを見出しました。この結果は、前回ブログでご紹介した心不全急性期のリハビリテーションの重要性と一致しており、心不全増悪で入院したとしても、状態が安定した時点でいかに早くベッド上安静を解除し、歩行訓練を含む心臓リハビリテーションを推進することが重要であることを示しています。入院施設を併設していない当クリニックではこの結果をすぐに還元することは難しいですが、仮に入院治療が必要な状態となっても、すぐに離床できるよう外来時点から積極的に筋量の維持や持久力の保持を努めて参ります。
本研究結果にご興味がある方はぜひこちらをご参照下さい。