・健康診断で血圧が高いと言われた。
・病院でたまたま血圧を測ったら、びっくりするくらい高かった。
・家族が高血圧で薬を飲んでるので自分も心配。
皆さん、そのようなお悩みはありませんか?
日本で予備群も含めると約4300万人と推定される高血圧。3人に1人が高血圧の計算になりますが、サイレントキラーといわれるだけあって、血圧が高くても無症状であるため、健診や病院で偶発的に判明することが少なくありません。なぜ日本では高血圧患者が多いのでしょうか?これは日本は海に囲まれた島国であり、海産物の摂取量が多い、あるいは保存料としての塩・醤油の味付けも相まって、諸外国と比較して平均塩分摂取量は約2倍と高いことが原因です。高い塩分摂取量は直接血圧上昇につながっており、推奨される6g/日の塩分制限で血圧は10 mmHg以上下がることが知られています。私がカナダに留学中、現地の方に日本食を勧めると、「健康志向で興味があるが、味がsalty (塩辛い)ね」とよく言われたものです。高血圧は心血管病の最大の危険因子です。実際に、上の血圧(収縮期血圧)が10 mmHg増加すると、15-20%も脳卒中や心筋梗塞にかかる頻度が上がります。さらには高血圧は認知症のリスクを上げることも明らかになってきました。人生100年時代を真に健康に生きるためには、いかに高血圧を管理するかが肝心なのです。
「でも、高血圧の薬を開始したら一生飲み続けないといけないんですよね?」と心配されるあなたへ「そんなことはありません、例え降圧剤を開始しても減塩や運動を頑張れは降圧剤を減量したり、上手く行けば中止できるかもしれません」と答えることが常ですが、実際の臨床現場では生活習慣をそこまで是正できる人は少なく、結局は長期間、時には一生必要になってしまうことも多いのが現実です。しかし、そこに新しい技術であるインターネットオブシングズ(IoT)、あるいは人工知能(AI)を動員させ、なんとか薬を使わないで血圧を下げることができないか、それが北海道大学と株式会社ORSOが高血圧アプリ(®すこやかダルマ)を開発した経緯です。
「すこやかダルマ」によって、単なる退屈な日々の高血圧の記録を家族とのつながり、医療者とのデータの見える化、個々の生体データからAIで算出される重症度評価、アドバイス機能など様々な機能を搭載しています。自分で自分の血圧を管理すること、その意識づけの強化によって自分で自分の健康を管理する「セルフケアヘルスケア」を身に着け、血圧の薬を使わずとも意識改革だけで血圧の管理を可能にします。増え続ける降圧薬は医療費をさらに圧迫するため、このアプリは将来的に医療費の抑制にもつながるかもしれません。
しかし、血圧を測定してその値をスマートフォンに記録する、あるいは自動的に転送されるといった類のアプリは既に世の中に出回っています。しかしながら、どれも医学的・科学的に本当に血圧を下げることができるか、あるいは患者さんの行動変容(意識改革)につながるかは実証できていません。そこで私達は、北海道大学が主導で行っているすこやかダルマを用いた臨床試験(AppCare-HT)に協力施設として参加し、すこやかダルマの降圧効果・行動変容への有効性を明らかにしたいと考えています。
すこやかダルマには、血圧を楽しんで計測できる仕組み(ゲーム性)があり、血圧値や日々の行動に応じてだるまがアドバイスをくれます。さらに、オムロン社製の自動血圧計と体重計、腕時計型の活動量計 (Fitbit)によって歩数、睡眠の質のデータが自動で連動し、様々な生体データが「見える化」します。また、先ほど述べたように食事中の塩分が血圧に大きく影響しますが、尿中塩分量簡易測定器によって1日の塩分摂取量を推定し、アプリへデータを入力します。こうすることで、さらにだるまが正確なアドバイスをフィードバックしてくれます。
本日、北海道大学臨床開発研究センター講師の横田先生が当院へ来てくれて、臨床研究 (AppCare-HT)の進め方、機器の使い方についてご指導頂きました。患者さんに勧める前にまずはスタッフがアプリを実際にダウンロードし、測定機器の使い方を学びました。どれも新しいテクノロジーという感じで、毎日の血圧測定が待ち遠しくなってしまいます。
20歳以上の方でスマートフォンをお持ちで、上の血圧が140 mmHg以上、あるいは下の血圧が90 mmHg以上の方は血圧の薬を飲んでいてもいなくても研究に参加できます。この研究に参加する特典は、なんと参加者全員にオムロン社製の高性能ブルートゥース機能付き上腕式血圧計(HEM-7271T)が無償で提供されることです!! さらにアプリ対象者には血圧計に加えて体重計、腕時計式身体活量計、尿中塩分測定器も無償で提供されます。
ただし、参加者はアプリを使用する群と通常治療群に無作為に振り分けられるため、必ずしもアプリを使用するとは限りません。半分の確率でアプリを使用するか、あるいは従来通りの血圧手帳を使うことになり、そこは患者さんのご希望でどちらかを選ぶことはできませんのでその点はご了承下さい。
もう高血圧は病院に行かずとも自宅でご自分でアプリで管理する時代がすぐそこに来ています。ぜひ、そのような夢のようなアプリ「すこやかダルマ」の臨床試験にご興味のある方はいつでも当院へご連絡下さい。