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健康診断で心電図の異常を放置していませんか?

健診において、心電図は採用時の企業健診や40歳以上の会社の定期健診では必ず行われます。その心電図検査で脚ブロックやT波の平坦化、ST低下、左室高電位などの異常所見ありと記載があって経過観察となっていることはありませんか?実はこれらの所見は「隠れ心不全」の徴候かもしれません。

「心不全」は聞いたことがある疾患と思いますが、意外とぴんと来る人は少ないかもしれません。従来心不全は「心臓のポンプとしての機能が低下することで、末梢組織の需要に見合う血流が維持できない状態」と定義されていました。しかし、これだと心不全の病態に着目し過ぎてその病状がうまく伝わらないため、2017年に心不全学会によって新たに「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。」と表現を変えました。つまり一度心不全と診断されれば、その経過は進行性であり一部の“がん”とほとんど変わらない余命になります。いかに心不全が恐ろしいか、その予防が重要かが分かるでしょう。

日本循環器学会では心不全の進行度を軽症(ステージA)から重症(ステージD)まで4つの段階に分けて分類しています。

高血圧や糖尿病、肥満、メタボリック症候群の患者様は全てステージAに分類されます。心不全なんて自分には関係ないと思っていませんか?実は高血圧と診断された時点で既に心不全への第一歩(ステージA)に入っていることを認識すべきです。そして、そのような生活習慣病を指摘され、さらに健診で心電図異常を認めた場合は心不全へのさらなる一歩(ステージB)への進行を示唆します。しかし、心電図はあくまで心臓の電気的刺激を体表面で捉えてるに過ぎず、心臓の構造的変化を正確に反映していないため、それ以上の評価は困難です。したがって、この時点で積極的に心エコー検査(心臓超音波検査)での精査を強くお勧めします。心エコー検査は体表にゼリーをつけて超音波プローブで非侵襲的に心内腔の大きさ、心室壁の厚さ(心肥大の有無)、弁膜症の有無、心臓が収縮・拡張する動き、これら心臓の固有の機能を評価できるだけでなく、心臓から拍出された血液量、肺の圧力や血管内容量など血行動態の評価も同時にできる極めて優れた検査方法です。

健診で高血圧やコレステロール、肥満を認め、さらに心電図異常を指摘された方はぜひ心エコー検査にて器質的心疾患の有無を検査して下さい。もしこれを放置しておくと、心不全はステージC (症候性心不全)へと進行し、息切れやむくみ、倦怠感などの心不全症状が出現します。ステージCは一旦は薬物治療で反応するものの、一部は薬剤抵抗性の難治性心不全 (ステージD)へと進行し、その後の予後は数年以内と極めて不良です。こうなってしまうと薬物治療も効果が乏しく手遅れなのです。

 

 

ですから、いかに症状はなくとも器質的心疾患がある状態(ステージB)に早く気づき、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I) あるいはアンジオテンシン受容体拮抗薬 (ARB)、β遮断薬などの心保護薬を導入できるかが、その後の心不全の進行を抑える「鍵」となるのです。

「高血圧やコレステロールで毎年引っかかっているが、今年は心電図異常を初めて指摘されたな」というあなた!! 心エコー検査ですぐに詳細に精査しましょう。そこで器質的心疾患が見つかればすぐに治療をしましょう。心臓は自身に再生能力がなく、究極的には心臓移植以外、根本的治療法がなく他に代替の効かない大切な臓器です。人生100年時代と言われますが、車で例えるのなら50,000キロで乗り換えてたエンジンを150,000キロ以上持たせる必要がある時代ということです。体に一つしかないエンジン(心臓)を定期的にメンテンナンス(心エコー検査)をして、大事に100年まで持たせましょう。当院では一般健診も行っておりますし、ご希望があれば心エコー、頸動脈エコー、血管年齢、心肺運動負荷検査を組み合わせた心臓ドックも実施しています。

心臓が気になる方、あるいは健診で心電図異常を指摘された方はぜひ当院へお気軽にお問合せ下さい。