ブログDIRECTOR'S BLOG

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コレステロールスルーしていませんか?

健診で悪玉 (LDL)コレステロール高かったけど、まあいいやとスルーしていませんか?

悪玉(LDL)コレステロールって何でしょう。コレステロールは脂肪つまり油ですからこれ単独だと血液中に溶けません。そこでリポ蛋白という粒子に囲まれて血液中に溶解します。LDLは「低密度リポ蛋白」であり、このLDL粒子に含まれているのがLDLコレステロールです。LDLは肝臓で作られたコレステロールを全身へ運びますが、過剰なLDLは血管壁に入り込み動脈硬化を引き起こします。一方、善玉であるHDLは全身の余分なコレステロールを回収する働きがあります。ですからLDL高い≒動脈硬化進展リスクが高い、HDL高い≒動脈硬化進展リスクが低い。さらにはLDLとHDLの比率(L/H比)=LDL/HDL>2.0では脂質プロファイルが動脈硬化へと傾いています。

つまり、LDLコレステロールが高いということはそれだけ血管壁の動脈硬化を引き起こすリスクが高いということです。ついLDLコレステロールの値ばかりにとらわれがちですが、もし健診でLDLが高かった方は自分の動脈硬化が現時点でどれほど進行しているか、一度検査すると良いでしょう。当院では血圧脈波装置で血管年齢(血管の硬さ)を評価し、頸動脈エコーで動脈硬化度を直接観察します。動脈は全身に渡って流れていますので、頸動脈エコーで評価した動脈硬化度は脳内 の動脈や心臓の冠状動脈の動脈硬化と相関し、代替検査として広く用いられています。その評価として、内・中膜複合体厚(IMT:intima-media thickness、1.1mm以 上を肥厚)とプラークの有無を確認します。エコーでの検査ですから全く痛みはなく、検査時間は約10分間で結果はすぐにお知らせできます。時に頸動脈エコーによって肥厚したIMTだけでなく、重症の内頚動脈狭窄や直接脳梗塞の原因となる可動性プラークが見つかることもありますので、コレステロールが高い方はぜひ半年~1年に1度の定期的な検査をお勧めします。

コレステロールの診療には上述した画像診断だけでなく、動脈硬化のリスク因子(性別、年齢、高血圧の有無、糖尿病の有無、喫煙の有無、心血管疾患の家族歴の有無、冠動脈疾患の有無、脳血管疾患の有無、慢性腎臓病の有無など)を詳細にお聞きし、下の表の一次予防のカテゴリーにおいて低リスク・中リスク・高リスクのどれに該当するか個別に判断します。健診では決まった基準値しか示されませんが、本来はそれぞれのリスク分類によってLDLコレステロールの正常値が異なることに留意が必要です。高いと思っていたLDLコレステロール値も低リスクであれば意外とそれほどでもないことがあるからです。

健診でLDLコレステロール高値を指摘されたそこのあなた!  そろそろコレステロールスルーするのはやめましょう!

お心当たりの方はいつでも当院へご相談下さい。