ブログDIRECTOR'S BLOG

月~土曜日(土曜は9:00~12:30、日曜・祝日は休診)
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コロナメタボ

コロナ感染拡大防止のため自粛生活が続き、ついつい食べ過ぎて運動不足がちになり体重が増えていませんか?

最近、そんな患者さんの受診が増えています。いつの間にかコレステロールが高くなった、中性脂肪が高い、血圧が高い、さらには肝機能異常と言われた。糖尿病かもしれない!?

メタボリックドミノと言われるくらい、「肥満」は生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)の入り口で、そこからドミノ倒しのようにあれよあれよという間に動脈硬化による心血管病が進行していきます。しかも厄介なのは高血圧、脂質異常症、糖尿病ですら初期はほとんど無症状ですので、定期的な健康診断がなければ気が付きません。

最近は「コロナメタボ」なんて言葉まで出てくるくらいです。はてさてどうしたものでしょうか。。

“コロナメタボ”が気になったら、まず健診を受けましょう!!

当院では一般健診のほか、動脈硬化ドック、心臓ドック、1日、2日人間ドックを承っております。札幌市のとくとく健診を受けられても良いかもしれません。そこで血圧が高い、コレステロールが高い、糖尿病予備軍、肝機能異常、などの異常が見つかれば、結果を持参になり当院へ受診されてください。

① 血圧が高い場合

心臓、腎臓、血管への影響がないかどうかをさっと調べ、もし既に影響が強いようであればお薬での治療を開始します。もし影響が少なければ減塩、運動療法、カリウム含有の多い食事の摂取(DASH食)を指導の上、家で血圧測定をしてもらいます。高血圧アプリ「すこやかダルマ」にご興味がある方はアプリを利用しながらご自分で血圧管理を行う方法もお教えします

 

② コレステロールが高い場合

動脈硬化の危険因子(年齢、喫煙の有無、血圧値、ご家族で同様の病気がいないか、糖尿病の有無など)をお話を聞いてスコアリングし(当院では吹田スコアを用います)、低・中・高リスクに分類します。血管機能の評価(血管年齢)と画像評価(頸動脈の超音波画像による血管壁の厚みの評価)を行い、実際に今現在どれほど動脈硬化が進行しているか目で見て確かめます。その上で、薬の治療が必要か、あるいは食事療法(肉の脂身の摂取を抑え、魚、大豆の摂取を増やす)と運動療法で定期的に検査をして様子を見るかを判断します。

③ 糖尿病予備軍が疑われる場合

血糖値を下げるホルモンであるインスリンが分泌されにくい、あるいは効きずらい状態です。改めて空腹時の血糖、1-2ヵ月前の平均血糖を示すHbA1c (当院では15分程度で検査可能)、必要であれば後日に75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を行い、糖尿病の確定か、あるいは予備軍かを判定します。治療はまず食事療法、運動療法を指導し(当院では糖尿病指導の経験豊富な看護師が常駐しています)、血液検査で経過を見ていきます。糖尿病と診断されれば合併症を起こさないことが重要であり、合併症の評価(網膜症、神経障害、腎障害)も同時に行います。

④ 肝機能異常と言われた場合

肝臓は物言わぬ臓器として有名ですから、もちろん自覚症状はありません。肝機能異常は肝炎ウイルス感染や自己免疫性肝炎などの特殊な肝障害をまず血液検査で除外します。その上で、超音波検査による画像評価で腫瘍などがないか、脂肪肝がないか、その他、胆嚢や膵臓などの他の消化管臓器の評価も併せて行います。一番多い原因は脂肪肝ですが、近年は脂肪肝であっても放っておくと知らない間に肝硬変 さらには肝癌になることが分かっています。当院では超音波エラストグラフィという新しい超音波の技術を使って「肝臓の硬さ」を評価し、脂肪肝の進行度を判定できます。治療は減量が一番重要ですが、最近は中性脂肪のお薬や糖尿病のお薬によって脂肪肝の改善が期待できることが分かっています。

⑤ 肥満ですと言われた場合

私も以前は(今も?)肥満体型ですからお気持ちはよく分かります😔これが一番対処が難しいかもしれません。糖尿病や高度肥満 (BMI>35)の方には減量や食欲抑制効果を持つ薬が保険で認められていますが、それ以外だと自費診療になります。一部の漢方薬でも減量が期待できますが劇的な効果とはいきません。肥満の改善に近道はなく、食事の見直しと運動量を増やすことにつきますが、当院では最新の医療用体組成計でまず脂肪の分布や筋量を評価し、どこをどう鍛えれば良いかお教えします。食事はマイクロダイエット(置き換え食)を推奨し、時間をかけてゆっくり減量を目指します。重要なことは「痩せれば何でも解決するわけではない」ということです。肥満の治療には時間がかかりますので、既に治療が必要な生活習慣病がないかまず血液検査で客観的に評価し、もし治療が先行すべき病気があればお薬で治療しながら、ゆっくりじっくり向き合うことです。

この先、感染の第二波、第三波がいつ来てまた自粛生活戻ってしまうことも十分考えられる今だからこそ、感染が落ち着いているうちにメタボへの早めの対策が必要です!! 一度きちんと評価し治療への道筋を決めておけば、外出自粛になっても当院ではオンライン診療で対応することができます。糖尿病で血糖値のコントロールが悪いほどコロナウイルス感染による死亡率も高いそうですから(Cell Metab 2020;31:1068-1077 e1063.)、コロナの感染防御にとってもメタボへの対策が重要なのです。

未来は誰にも分かりませんが、もしかするとこのウイルスは感染そのものではなく、このウイルスによって一変した生活様式とそれによって生じるメタボが一番厄介なのかもしれません。